SDGsのDはDevelopmentですが、日本語では開発と訳されることが多いものの、成長という意味と捉えても間違いではありません。

SDGsは、ふつう脱炭素など地球環境の保護に焦点を当てることが多いですが、ここでは少し違った角度から考えてみましょう。

成長とは、簡単に言えば、人々の所得が増えていくことです。所得が増えないとどうなるでしょう?日本で言えば、国や自治体の税収が減るので、借金(財政赤字)の返済の為に増税と社会保障費の削減をつづけるしかなくなります。道路や橋はぼろぼろのままです。みんな将来が不安になって、貯蓄をさらに増やし消費を控えるでしょうから、国全体はさらに貧しくなります。成長しない社会は持続可能ではなくなってしまうのです。

これも、気候変動によっていのちが脅かされるのと同様に、Dignityにとって、由々しき事態といわざるを得ません。

社会を持続させるには、地球環境を守りながら、両立しうる成長を続ける必要があります。

経済成長は、総労働時間(労働力x労働時間)の増加、労働生産性の増加、生産財の増加、労働の質の上昇の4つの要素が合わさったものです。少子高齢化で労働人口が減少し続ける状況で、経済成長を維持するには、他の3つの要素を増加させるしかありません。

このうち労働生産性と労働の質を左右するのが、DiversityとDigitalなのです。

ここで「労働の質」という聞きなれない概念を説明しておきましょう。新しい商品を開発した会社が、マーケティングチームをAチームとBチームに分けて、商品のキャッチを考えさせるとしましょう。チームのメンバーの数、労働時間、パソコンやソフトなどの設備も同じ。つまり上で述べた他の要素は同じということですね。さて成果物であるキャッチを、市場調査にかけてみたところ、Aチーム考案のキャッチの方がBチーム考案のそれより10倍も反応があったとします。実際に商品にキャッチを付けて販売したら、売上に相当な差が出そうです。この差をもたらしたものが、AチームとBチームの「労働の質」の違いということになります。

実は、Aチームは、半数が女性、半数が外国人、その外国人は半数がアジア人、半数が欧米人だったのです。これに対してBチームは、全員が日本人の男性でした。

もうお分かりですね。

様々な文化的背景、価値観、経験、能力をもった人々が、意見をぶつけ合ってアイディアを練っていくと、優れた結果が出ることは容易に想像がつきます。Aチームは異性のグループですから、モチベーションも違いますからね!

企業の人材におけるDivesityは、「労働の質」という経路を通じて、生産物の付加価値を高めるのです。場合によってはイノベーションをもたらすのです。

一方のDiditalが、生産効率を高め労働生産性を上昇させることは自明ですし、今日言われているDigital Transformationは、さらにその先の、ビジネスモデルの変革やイノベーションを目的としています。

このようにDiversityとDigitalは、地球環境と両立しうる経済成長をもたらし、持続可能な社会の実現に貢献するのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です