番外編:労働生産性について

ここで、補足として、よく使われる「労働生産性」について、定義をしておきましょう。

      労働生産性=GDP/労働人口 

です。この式は国民1人当たりGDPに近い値になります。そうであれば前に登場した、このグラフとも一致します。つまり生産性が停滞しているので、1人当たりの所得も停滞している、ということになります。

労働生産性を表す指標には、次のようなものもあります。

    労働生産性=労働時間+全要素生産性(TFP)+労働時間あたり資本+労働の質

① 全要素生産性とは、他の要因を一定とした時の技術進歩による生産性の変化を言います。

② 労働時間当たり資本とは、財やサービスの生産に投入した全労働時間で、機械設備やIT機器などの資本財の価額を割ったものです。これを資本装備率といいます。

③ 労働の質とは、ちょっと難しい概念ですが、学歴や経験やモチベーションで変化する生産性だと考えてください。

労働生産性の変化をこれらの要素に分解したグラフがこれです。

90年代以降である赤い四角の部分に注目してください。この30年間の労働生産性の低下(GDP成長率の低下)の原因は、③の資本装備率の減少が一番大きく、続いて、②技術進歩要因、さらに④労働の質となっていることが分かります。

これは、この30年間に企業が、労働生産性を上昇させるような設備投資を余り行ってこなかったことと、働き手のスキルの向上が見られない(スキルをもった働き手が増えない)ということを示しています。

これは重要なデータですね。

これからの議論の中で、「労働生産性」の概念が頻繁に登場します。その時は、工場で動くロボットの数、デスク上のパソコンとソフトウエアの最新度、そして機械やソフトを使いこなす人々のスキルといったイメージを頭に思い描いてください。

以下のブログでは、この30年間、企業が設備投資や働き手のスキルの向上に消極的だった事実を確認し、その背景を考えてみたいと思います。(K)

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